キャストコート紙をインクジェットで印刷。両面できるのか?

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キャストコート紙 インクジェット

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回のお話は、キャストコート紙を
インクジェットで印刷できるのか?

インクジェットで写真印刷したいけど
普通のキャストコートではだめなのか?

こんなことを考えている人が
いるかもしれませんね。

通常キャストコート紙というのは
カレンダーや雑誌の表紙の紙ですが、

この場合はオフセット印刷用に
品質設計されていますから

インクジェットプリンタでの
印刷は出来ません。

しかし、インクジェット印刷用の
光沢紙をキャストコート紙と

呼ぶ人もいますので、その場合は
当然インクジェット印刷できます。

それでインクジェット用の光沢紙が
両面印刷できるかとなると

これも両面印刷用でなければ
インクジェット印刷はできません。

片面だけインクジェット印刷用で
反対面はラミネートされているとか

そういう紙だったら裏面は
インクを受け付けませんから無理です。

ではインクジェット印刷出来る紙と
出来ない紙は何が違うのか?

ということで。

この記事ではキャストコート紙が
インクジェット印刷出来るかどうかについて

管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。

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キャストコート紙とインクジェット印刷について

まずキャストコート紙について。

本来、キャストコート紙といえば
カレンダーとか雑誌の表紙に使われる

非常に光沢の強い紙のことで
オフセット印刷で印刷されます。

商業印刷で使われる紙のことです。

そもそもオフセット印刷対応ですから
インクジェット印刷はできません。

だいたい、一般のオフセット印刷用紙が
インクジェットで印刷できるなら

インクジェット印刷用専用紙が
開発されるわけないんですよね。

逆に言うと家電量販店で販売している
光沢インクジェット用紙は

オフセット印刷するようには
出来ていません。

それぞれどちらも専用紙なんですね。

それから光沢の強い紙はなんでも
キャストコート紙だと思ってる人がいて

そんな人が多分インクジェット用の光沢紙を
キャストコート紙と呼ぶんだと思います。

元製紙会社社員の立場からすると
ややこしいからやめてくれと思いますね。

製造方法を考えるとどちらも
キャストコーターを使うので

大間違いでもないんですが
やっぱりややこしい。

それでこのキャストコート紙と
光沢インクジェット用紙何が違うのか?

紙として見た目は似てるんですが
印刷できるインクが違うわけですね。

まずオフセット印刷用インクは
基本的に油性で顔料とバインダーが

全体の50%程度を占めていて
水飴みたいに粘度が高いです。

一方インクジェットインクは80%程度が水で
サラサラしているんですね。

ここだけ考えても
同じ紙で対応できるはずがないですよね。

オフセット印刷用紙は油性インクで
キレイに印刷できるかどうかが問題。

しかしインクジェット印刷用紙は
水性インクの受理性、

つまり大量の水を吸収して
インクがにじまないことが重要。

そのための塗料設計が全く違うんですね。

塗料設計などというと大げさですが
実際に一般のキャストコート紙と

光沢インクジェット用紙では
使われている塗料は全く違います。

キャストコート紙では、
顔料には炭酸カルシウムやクレーで
バインダーにはラテックスやカゼインですが

光沢インクジェット用紙では、
下塗りは顔料にシリカ、

バインダーにPVAやアクリルエマルジョンなど、
上塗りは顔料にコロイダルシリカという感じ。

ちょっと専門的になりましたが
結局、塗料の成分が全然違うということ。

いくら見た目が似ていても塗料に
使っている薬品がぜんぜん違う。

逆に言うとこれくらい変えないと
インクの違いに対応できないわけですね。

両面キャストコート紙の製造は難しい?

ここまで一般のキャストコート紙が
インクジェット印刷できないことと

インクジェット印刷に対応するには
塗料の設計が違うことをお伝えしました。

なお、光沢インクジェット用紙なら
もちろんインクジェット印刷できるんですが

それでも片面印刷か両面印刷か
という問題はあります。

インクジェット用紙を購入するときに
片面印刷とか両面印刷とか

そういう注意書きがあるわけで
それに従って使うべきです。

実際のところ光沢紙の場合、
多くは片面印刷用で両面印刷用は少ない。

これには理由があります。

両面光沢ということは両面とも
キャストコーターで仕上げるわけです。

それでキャストコートというのは
キャストドラムという鏡面のドラムに

塗工面を当てて紙の表面が
ドラムの鏡面を写し取ることで

光沢が出るという仕組みなんですね。

そうなると塗料を乾燥させたときに
水分は蒸気になって出ていきますが

その蒸気は紙の裏側から
抜けていくことになります。

それで、1回目の塗工をするときには
裏側に塗工層はないのですが

2回目は裏側に1回目で塗工した
光沢層があるわけです。

そうなると塗料を乾燥して蒸気が
抜けるときに塗工層がじゃまになる。

つまりは通気性の良い塗工層でないと
両面光沢紙は作れないということ。

これは結構ハードルが高いです。

今はできるようになっていると思いますが
管理人が担当していたときは無理でした。

こういう技術的な問題があるのと
あとはコスト的な問題ですね。

表も裏も塗工するとなると
塗工回数が増えるわけですが

塗工回数が増えるほど
ロスも大きくなる。

マシンを動かす固定費と人件費が増えて
製品のロスが増えるわけです。

販売単価を高くするにしても効率が
悪くなりますから現場はやりたくない。

結局、技術的に難しいし
採算も取れないからやらない。

こういうことになるんですね。

片面が光沢で反対面がマットとか
普通紙というのがあっても

両面光沢紙が少ないのは
こういう理由があるということです。

また、光沢インクジェット用紙で
両面印刷するときは

正しく両面用の紙を使う必要があるし、
反対面にどんな印刷をするのかを

よく考えて紙を選ぶようにしないと
想定していた印刷ができません。

これは十分注意してほしいですね。

管理人のまとめ

今回はキャストコート紙をインクジェットで
印刷出来るのか、についてお話しました。

結論から言うと一般のキャストコート紙は
インクジェット印刷できません。

ただし、光沢インクジェット用紙を
キャストコート紙と呼んでいるなら
それはもちろん印刷できます。

また、両面インクジェット印刷するなら
それは両面印刷用を使用するべきです。

片面印刷用では反対面が
インクジェット印刷に対応していません。

ここは正しく紙を選ばないと思ったような
印刷ができませんから要注意ですね。

この記事がインクジェット印刷用紙を
選ぶときの参考になればと思います。

インクジェット用紙は正しく選んで下さいね!

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