コピー用紙の使用期限。中性で環境が良ければ100年持つ?

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コピー用紙 使用期限 中性

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回はコピー用紙の使用期限のお話。

管理人は物持ちが良くて大学の頃の
ノートや教科書を持っていたりします。

もう30年以上前のものですね。

それらは黄色くなったものもあれば
まだ白いものもあります。

当時は上質紙でも酸性紙と
中性紙が混在していましたから

変色したのは酸性紙で
変色していないのは中性紙でしょう。

だいたい、捨てることも忘れて
本棚に入っていたものですから

光が当たらなかったため
保管状況は良かったのでしょう。

管理人の持っている本はこんな感じですが
実際のところ、上質紙やコピー用紙の

使用期限は一般的にどれくらいと
言われているのでしょうか?

また、酸性紙と中性紙では
何がどう違うのでしょうか?

ということで。

この記事では、コピー用紙の使用期限について
管理人なりに調べたことをお伝えします。

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コピー用紙の使用期限。保管状態の良い中性紙なら100年以上

それでコピー用紙や上質紙の
使用期限なんですが。

メーカーによると中性紙なら
100年以上ということだそうです。

紙というのは保管環境が良ければ
相当長い年月持つものなんですね。

確かに和紙は数百年とか
普通に持ってますからね。

ここで中性紙ならと書きましたが、
酸性紙の場合は20-30年だそうです。

管理人の持っている本のなかにも、
黄色くなったものがありました。

あれは多分上質紙でも
酸性紙だったんでしょう。

それで、酸性紙と中性紙の違いなんですが。

これは硫酸バンドという薬品を使うかどうか
その部分が大きな違いになります。

上質紙の場合主成分はセルロースで
数%がクレー、タルク、炭カルといった粘土。

これらは元来、劣化しにくい物質です。

化学的に安定な方なんですね。

 

しかしそれでも硫酸のような
強酸があると話は違います。

セルロースが安定だと言っても
硫酸と接触すれば酸化劣化します。

その硫酸はどこから発生するのか?
といえば硫酸バンドから発生するんですね。

硫酸バンドは名前の通り硫酸の化合物で
化学的には硫酸アルミニウムと言います。

硫酸とアルミの化合物ですね。

これは水によく溶けるので、
水を使う製紙にはちょうどいい。

それでこれ、水分があると硫酸イオンと
アルミニウムイオンに電離するんですね。

湿気があると硫酸が発生するということです。

もちろんその量は微量なので
少々のことでは問題ないのですが、

それが長期間何十年にも渡って
接触し続ければ酸化劣化するわけです。

硫酸は強酸ですからね。

セルロースがいくら安定だと言っても
硫酸が接触し続ければ劣化する。

だから酸性紙の場合、20-30年程度
ということになるわけです。

 

この問題が分かってから
対策として出てきたのが中性紙。

だから中性紙には硫酸バンドは
使用しないかもしも使用しても微量です。

酸性紙の場合硫酸バンドは
じゃんじゃん使ってますからね。

それで、酸性紙ではなぜ
硫酸バンドを使っていたか?

それは定着剤として性能がいいから。

しかも安い。

水にも溶けるということで
製紙には都合が良かったんです。

そもそも定着剤として使われたのは
サイズ剤を定着させるためです。

サイズ剤というのはにじみ防止のために
紙に添加する薬品のことです。

この原料成分は松ヤニで
ロジンと呼ばれるんですが

このロジンを化学的に
変性したものがサイズ剤となります。

このロジン、電気的にはマイナスなんですね。

実は紙の原料になるパルプの
主成分、セルロースもマイナス電荷。

プラスイオン(カチオン)でつながないと
ロジンがパルプに定着しないわけです。

そこで使われたのが硫酸バンド。

硫酸とアルミニウムの化合物なんですが、
アルミニウムはカチオンなんですね。

この場合、硫酸バンドで重要なのは
硫酸ではなくアルミニウムイオンの方。

アルミニウムイオンが
3価のプラスイオンなので、

マイナスの電荷を持つセルロースと
ロジンをくっつけてくれる。

こんな感じで紙にサイズ剤が
定着してくれるというわけです。

インクで紙に書いてにじまない、
というために必要だったわけですね。

和紙の場合は墨で書きますからにじみは
紙ではなく墨の問題なのかも知れません。

和紙にはサイズ剤も
硫酸バンドも使いませんからね。

ということで、洋紙では硫酸バンドが
使われていたのですが、

紙の保存性が問題になってから
中性紙が開発されたわけです。

中性紙のアイデアが出てきたのは
和紙が長持ちする原因が

硫酸バンドを使っていないから
ということが分かったからでした。

サイズ剤はロジン系ではなく、
AKDやASAといった薬品を使い、

定着させる方法もコンポジルシステムのように
カチオン澱粉とコロイダルシリカを組み合わせ

薬品を定着させて歩留まりを向上させる
というような方法が開発されています。

 

それにしても。

紙を劣化させる原因が安価で
効果の高い硫酸バンドだとわかったとき

製紙業界の反発は相当に
大きかったと思います。

実際、製紙会社では調子が悪くなると
硫酸バンドの添加量を増やしてました。

現場では「魔法の水」と呼んでましたから。

それも今は昔、一部の紙を除いて
かなり減ったんだろうと思います。

コピー用紙としての使用期限

ここまでコピー用紙や上質紙の
使用期限についてお話しました。

酸性紙なら20-30年、
中性紙なら100年以上ということでした。

ただし、コピー用紙としての使用となると
保管状況も大きく関わってきます。

もしも環境が多湿だったり
逆に乾燥していたりすると

紙の水分が変動して
紙がカールすることがあるんですね。

コピー用紙の場合は、包装されていれば
そんなに吸放湿しませんが、

包装から出した状態で環境が悪いと
カールがして使えない可能性があります。

コピー用紙の場合、使用される環境の湿度が
50%-60%程度が想定されていますから

普通に人が快適に生活できる
環境であれば特に問題はないのですが

雨降りの日とか、冬場の
乾燥時期には注意が必要ですね。

そういう環境では使用期限がどうこうよりも
できれば使わないで欲しいところです。

プリンタ用紙にしても印刷用紙にしても
湿度環境は要注意なんです。

管理人のまとめ

今回は、コピー用紙の
使用期限についてお話しました。

結論としては、中性紙なら100年持つです。

最近のコピー用紙はほぼ中性紙ですから
現実的には100年大丈夫なんですね。

自分が生きている間は
問題ないというような感じです。

とはいえ、コピー用紙を開封したまま
多湿または乾燥した場所での保管はNG。

紙が吸放湿でカールしますから。

管理人としては普通の部屋で
使えば問題ないと思っています。

この記事がコピー用紙の使用期限を
考える参考になればと思います。

コピー用紙、大切に使って下さいね!

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