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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
電子書籍は本当に高い?そのイメージを再検証してみる
「電子書籍は高い」というイメージを、いまだに根強く持っている人は少なくありません。確かに、紙の本と同じような価格で販売されている電子書籍も多く、「データなのにこの値段?」と疑問を持つ方もいるでしょう。しかし、実際の市場を見てみると、現在では電子書籍の方が紙の書籍よりも安く販売されているケースが多く、コストパフォーマンスの面で非常に優れていることが分かります。また、キャンペーンやセール、定額読み放題サービスなども充実しており、従来の「高い」というイメージは必ずしも当てはまりません。
この記事では、なぜ電子書籍が「高い」と感じられてしまうのか、その背景にある心理的なイメージや先入観について考察します。そして、実際の価格比較や電子書籍ならではの利便性なども紹介しながら、あらためてその魅力を再検証してみたいと思います。
元製紙会社社員である管理人の視点から
私は元々、製紙会社で長年勤務していたという経歴もあり、読書に関してはずっと「紙の本」派でした。紙をめくるときのカサカサという音、インクと紙の香り、そして読み終えた本が本棚にずらりと並ぶ様子は、読書好きにとってはたまらない魅力です。物理的な存在としての本には、単なる情報媒体以上の価値があると感じてきました。
しかし、時代の流れとともに読書スタイルも大きく変わりました。今では多くの人がスマートフォンやタブレットを使って電子書籍を読む時代です。私自身も、仕事や生活の中での利便性を求めるうちに、移動中やスキマ時間での読書には電子書籍を使うようになりました。PDFやEPUB形式のファイルも手軽に読める環境が整っており、紙の本にこだわらず、シーンに応じて使い分けることができるようになったのです。
特に私が電子書籍で便利だと感じているのは、文字の拡大やフォントの変更機能です。年齢を重ねて目が疲れやすくなった今、小さな文字を読むのが億劫になる場面もありますが、電子書籍なら指先ひとつで文字を見やすく調整できるため、ストレスなく読書が楽しめます。視認性の高さは、紙の本にはない大きなメリットだと思います。
実際の価格を比較してみたら…?
「それでもやっぱり電子書籍って紙の本と同じくらい、あるいは高いんじゃないの?」
このように感じる人もいるかもしれません。そこで、実際にAmazonのKindleストアを使って、いくつかの書籍の価格を比較してみました。結果としては、紙の書籍よりも安価に設定されている電子書籍が多く見受けられました。中には紙の本よりも数百円以上安いものもあり、価格面でも十分に魅力があると言えます。
また、Kindle Unlimitedといった定額読み放題サービスを利用すれば、対象の電子書籍を月額料金だけで何冊でも読むことができます。ビジネス書や小説、マンガ、雑誌など幅広いジャンルが読み放題対象となっており、読書量が多い人にとっては非常にお得な選択肢になります。さらに、タイムセールや特集セールが定期的に開催されており、人気作品を半額以下で購入できる機会も少なくありません。
つまり、「電子書籍は高い」というのは、過去の印象や一部の価格設定だけを見た偏ったイメージに過ぎない場合が多いのです。実際の価格や利便性を冷静に見直してみることで、そのイメージは大きく変わるかもしれません。
技術書は驚くほど安い
まずは専門性の高い技術書から。
紙の書籍だと3,300円もしますが、Kindle版はなんと499円。内容が同じにも関わらず、この差はかなり大きいですよね。技術書に限らず、こうした価格設定の違いは、電子書籍の大きな魅力です。
実用書・エッセイも安価な傾向に
料理や暮らしに関する実用書でも確認してみましょう。
紙の本は935円、電子書籍は842円。そしてKindle Unlimited会員なら0円で読むことができます。
漫画や児童書は同価格も多い
一方で、コミックや児童書などは紙と電子で価格が変わらないケースもあります。
スキップとローファー(9):759円(紙・電子共に同価格)
モモ(岩波少年文庫):880円(紙・電子共に同価格)
同価格であれば、持ち運びの手軽さや場所を取らない点で、電子書籍の方が便利と感じる人もいるでしょう。
電子書籍が「高い」と感じる理由
1. モノとして手元に残らない
紙の本には、ページをめくる感覚や本棚に並べる楽しみといった、視覚的・触覚的な満足感があります。読み終わったあとでも「読んだ証」が手元に残るため、所有する喜びを感じやすいものです。一方、電子書籍はデジタルデータであるがゆえに、実体を感じにくく、手元に「残った」という印象が希薄です。そのため、価格が紙の本と同等、もしくはそれ以上だと、見合っていないと感じてしまうことがあります。
また、電子書籍はクラウドや端末の中に収まるため、読後の物理的な痕跡がありません。「本棚に並べたい」「人に見せたい」といったニーズを満たすことができず、これが結果として「高い買い物をした」という印象につながる場合もあります。
2. 中古市場が存在しない
紙の本は、読み終わったあとに中古書店やフリマアプリで売却することができます。購入時の価格に対して、一定の金額が戻ってくるという安心感があります。それに対し、電子書籍は著作権管理の関係から、再販や譲渡が原則禁止されており、一度購入したらそれきり。誰かにあげたり、読み終えたあとに換金したりする手段がないのです。
この「資産として残らない」という特徴は、価格に対する評価を厳しくさせる要因になります。特に高価格帯の書籍や専門書では、読み終えたあとに売却できないことが、電子書籍を避ける理由となることも多いのです。
3. デジタル商品への心理的ハードル
電子書籍は物理的な形がないため、「本当にこの値段を払う価値があるのか?」と感じてしまう人が少なくありません。特に印刷物に慣れ親しんできた中高年層にとって、データに対する価値の感覚がまだ十分に育っていないケースがあります。「印刷費や製本代がかかっていないのに、なぜこの価格なのか」と疑問を持つこともあるでしょう。
また、クラウドやストレージの概念に不慣れな人にとっては、「いつでも読める」「消えない」といった利便性よりも、「手元に置けない不安」の方が大きく感じられます。こうした心理的な壁も、電子書籍が割高に思える原因のひとつです。
実は電子書籍のほうがコストが低い
電子書籍は、その制作プロセスにおいて紙の本よりも圧倒的に低コストで済む点が大きな特徴です。まず、著者が書いた原稿はすでにデジタル形式で存在しており、それを編集・レイアウトし、電子フォーマットに変換して配信するだけで商品化が可能です。このプロセスには印刷も製本も不要で、製造コストは最小限に抑えられます。
一方、紙の書籍には多くの工程と費用がかかります。紙やインクといった原材料費に加え、印刷機の稼働費用や製本作業の人件費、さらに完成した書籍を全国に配送するための流通コストも無視できません。そして書店で販売するためには、陳列スペースの確保や広告・販促費用も必要です。こうした積み重ねが、紙の本の価格を押し上げる大きな要因となっています。
電子書籍は、これらの物理的コストが発生しない分、もっと安価で提供されてもよいように思われがちですが、実際には紙の本とほぼ同等、あるいはそれ以上の価格で販売されているケースもあります。その背景には、出版社の利益確保や印税の配分、プラットフォーム手数料など、別のコスト構造があることも一因です。
ただし、セールや定額読み放題サービス(Kindle Unlimited など)を活用すれば、電子書籍は非常にコストパフォーマンスの高い選択肢となります。紙の本では実現できない価格で大量の書籍にアクセスできる点は、電子書籍ならではの大きなメリットと言えるでしょう。
読み放題の選択肢:Kindle Unlimited
多くの本が対象となる「読み放題サービス」は、さらにコストパフォーマンスを高めてくれます。月額料金だけで、膨大な数の電子書籍が読み放題になるのは、読書好きにはたまらないサービスです。
まとめ:電子書籍は高くない、そのイメージをアップデートしよう
電子書籍が高いという印象は、過去の感覚に基づくものが大きいといえます。実際に調べてみると、紙の本より安価なものも多く、手軽さや持ち運びやすさを考えれば、むしろ電子書籍の方が合理的です。
もちろん紙の本には紙ならではの良さがありますが、価格面に限っていえば、今の電子書籍は決して高くありません。今後さらに普及が進めば、この「高い」というイメージも自然と薄れていくことでしょう。
今こそ、電子書籍の価値を見直してみるタイミングかもしれません。
(参考)
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