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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は文庫本の紙のサイズは?というお話。
管理人は昔文庫本の製造に
関わったことがあります。
文庫本とは出版用紙ですから
チラシと違って品質が厳しかった。
特に紙厚と色調はうるさかったですね。
製造するたびに束見本という見本を作って
各項目のチェックをしていたものです。
束見本というのは白紙を使って実際の
文庫本と同じように製本した見本のこと。
管理人は白紙の文庫本もどきを
たくさん作ったということです。
ところでその文庫本のサイズはどうなのか?
結論から言うと基本的に
A6と呼ばれる大きさになります。
A6は、105mmx148mmです。
A4の1/4ですね。
なんだかちょっと小さく感じますが、
多くの文庫本の大きさがこれです。
ただし、各社各様ではあるので、
A6を基本に若干サイズが違ったはしますが。
ではこの文庫本のもとになる
紙のサイズはどうなのか?
ということで。
この記事では、文庫本の
紙のサイズについて
管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。
文庫本の紙のサイズはA6、元の大きさはA横
先程お話したとおり、文庫本の
紙のサイズは基本的にA6になります。
それで、その元になる紙の大きさなんですが。
通常はA列本判になります。
A列本判の大きさは、
625mmx880mm
A1の594mmx841mmより
一回り大きくなっています。
それで、これを横長に使います。
工場では「A横」と呼んでました。
A横:880mmx625mmですね。
A6サイズは105mmx148mmですから、
横方向:105mmx8=840mm
縦方向:148mmx4=592mm
となります。
880-840=40mm
625-592=33mm
となりますが、この余った部分は
製本後、側面を断裁する部分です。
この断裁の余白部分が大きくなると
紙が無駄になるし小さすぎると作業できない。
これくらいがちょうどいいということですね。
これから分かるように
A横1枚から横8x縦4の32面が取れます
両面に印刷すれば64ページ分です。
もしも256ページの文庫本なら1冊は
A横4枚あればいいということです。
なんだか少ない気がしますね。
管理人は、文庫本を製造するたびに
マシンから出てきた紙をA横に断裁して
A6サイズに折って、4折を重ねて
ホットメルトで束見本を作るという作業を
何度もやった記憶がありますが
手間のかかるものでした。
今も工場では似たようなことを
やってると思いますが。
文庫本の紙を製造するにはマシン巾が重要
ここからは元製紙会社社員としての
管理人の本音をお話させて下さい。
実は製紙会社ではマシン巾はとても重要です。
シートで使用されるものは紙にしても
フィルムにしても巾が重要になります。
理由は巾の取り合わせが悪いと
マシンの効率が落ちるから。
たとえば今回の文庫本であれば、
横巾が880mmですから、
この倍数より少し大きいマシンが都合がいい。
3丁取りなら
880mmx3=2640mm
となります。
となると2650-2700mm程度の
巾のマシンがいいわけです。
これが3200mmとかになると
巾のロスが大きくなってしまう。
巾のロスは絶対に改善しませんから
これがコストに響くんですね。
たとえば製品巾が2640mmで
マシン巾が2700mmだったら
巾効率は
2640mm÷2700mm=98%
しかし、
2640mm÷3200mm=83%
となって、なんと15ポイントも違うんです。
こんなに違っていたら、原料費を削って
生産速度を上げても追いつかない。
巾の違いで1.2倍になるわけで
コストとしては2割増しですから。
100円で製造できるはずのものが
120円かかる計算になるんです。
どれだけ重要かということですね。
紙の場合、A列が取りやすいか
B列が取りやすいかはマシンによって
かなり違いがあって、どんな巾の
マシンがあるかは会社で違います。
マシン巾はその会社の得意分野を
表しているとも言えるんですね。
文庫本の品質管理について
もう少し文庫本のことをお話させて下さい。
文庫本の場合は必ず本になります。
当たり前ですね。
チラシやコピー用紙のように1枚ずつ
使われるものではないということです。
そこで紙の色調が問題になります。
紙は白いと言ってもその白は
微妙に違うんですよね。
赤っぽかったり青っぽかったり
黄色かったり紫だったり。
文庫本にしても各社各様で
よく見ると色は全然違います。
それぞれの会社で好みがあるし、
シリーズによって専用の紙があるし。
それで、本になって並ぶわけですから
その色調が違うとまずいですよね。
特に1冊の本の中で色が違うと
トラ本になってしまう。
トラ本というのは、側面を見ると
トラのようにシマが見えるということです。
こうなるとクレームです。
本音を言うと、製造ロットの同じものなら
まずはそんなことにはなりません。
しかし、昨年製造した紙と今月製造した紙を
同時に使って本にするようなこともあるんです。
在庫の管理が出来ていなかったり、
売れ行きが悪い文庫本ではあるあるです。
これをやられると色違いが
発生する確率が高くなる。
いくら品質基準を厳しくしても
経時変化による退色もあるし、
基準値内での微妙な色違いというのは
避けられないところがありますから。
輪転機で印刷して製本してくれる場合は
製造日が近い紙になるんですが
枚葉機で前回に残っていた紙なんかを
混ぜて使われたら怪しくなってくる。
それがトラ本になって出版社の目にとまると
クレームになってしまうわけですね。
実際、結構怖い目に会いました。
こういうのは運の善し悪しだったりします。
だから日ごろの行いが
大事だと思ったりしたものです。
管理人のまとめ
今回は、文庫本の紙の
サイズは何?というお話でした。
結論としては、基本的にA6と
呼ばれるサイズでした。
A6はA4を4つ折りにした大きさです。
ただし、各社各様なので、
若干のサイズ違いはあるということです。
それで、文庫本のA6サイズは
A横と呼ばれる大きさから32面とれます。
A横というのはA1より
一回り大きなサイズなので
半分に折ることをあと5回繰り返せば
だいたいA6になるわけです。
2の5乗=32、(横8x縦4)という感じです。
また、製紙会社ではマシン巾は重要で
A横がちょうどいい感じでとれなければ
効率が悪くなってコストアップになる
ということもお話しました。
文庫本は手軽に買える身近な本。
ここから本に親しんでもらえれば紙を
供給していた側としてはうれしいのですが。
この記事が文庫本の紙の
サイズの参考になればと思います。
文庫本、気軽に楽しんで下さいね!