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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、光る紙について。
たとえば。
体育館や工場なんかで照明が
青白い水銀灯だった場合。
システム手帳を使っていて、光らない紙と
ぼんやり青く光る紙がある。
普段、普通の蛍光灯の
下では気にならないのに。
そういう経験はありませんか?
システム手帳なんかだと、色んな種類の紙が
使われているのでそれが分かりやすいです。
実はそういうぼんやりと青や赤紫色に
光る紙には蛍光染料が入っていて
紫外線が強いと青色や
赤紫色に光りやすいんです。
ではどんな紙が光りやすいのか?
ということで。
この記事では、紫外線で光る紙について
管理人なりに調べたことをお伝えします。
光る紙には蛍光染料が入っている
ここでいう光る紙は、光を蓄えてその後
徐々に放出する蓄光紙ではありません。
紫外線が当たると青白く光る紙のことです。
それで、紫外線で光る紙には
蛍光染料が入っているわけですが、
ではどういう紙に蛍光染料が
入っているのかということなんですね。
一番入っているのはコート紙。
なかには蛍光染料が処方されていない
塗料もあるでしょうがほぼ入ってます。
それから蛍光上質紙。
よく見かけるのは駅の売店で
売っている青白い色をした競馬新聞。
あれは名前は新聞と呼んでますが紙は
蛍光上質紙という上質紙なんですね。
あとは古紙入り紙ですね。
古紙入り〇〇という紙は
蛍光反応が出やすいです。
新聞紙や段ボールは新聞古紙や
段ボール古紙がメインなので
蛍光反応は出にくいですが古紙入りの
上質紙や包装紙なんかは出やすいです。
蛍光染料の仕組みと配合する理由
ではなぜ蛍光染料を配合するのでしょうか?
それは見た目を白くしたいから。
洗濯物と同じです。
蛍光染料というのは目には見えないが
エネルギーは強い紫外線を吸収して
目に見える紫色や青色の可視光線を
放出する染料なんですね。
単純に目に入ってくる可視光線の
量が増えるわけですから白く見える。
あざやかに感じるというわけです。
それから、紙も塗料も黄色くなりやすい。
黄色というのは劣化した色ですから補色の
青色でそれを打ち消す効果もあります。
単に黄色を消すだけなら青色の染料を
使えば良いんですがそれだと暗くなる。
だから蛍光染料と併用する感じですね。
それで、蛍光染料を配合するのは
コート紙の塗料と蛍光上質紙。
これらは紙の見た目を白くするため
意識して蛍光染料を配合します。
しかし、古紙入り品はそうではありません。
古紙入り品に蛍光反応が出るのは
主にコート紙を古紙原料とした場合。
新聞のチラシがそうですね。
コート紙には蛍光染料が入ってますから
それが古紙パルプにも含まれる。
この部分は意図して配合していない。
古紙パルプの中にチラシ古紙の
比率が多ければ蛍光染料も多い。
そういう場合は紫外線で
光りやすいということになります。
ちなみに。
照明器具の中で紫外線が
多いのは水銀灯ですね。
蛍光灯、LEDランプ、白熱電球も
紫外線は出しますが少ないです。
部屋の照明で見ていて違和感がなくても
お店の照明で紙が光るとしたら、
そのお店では水銀灯を
使っているのかも知れません。
なお、日光は紫外線が多いです。
だから、コート紙は昼間、日当たりの
良い窓際で見ると一層白く見えたりします。
紙の色は白と言っても微妙に違うのですが、
光の影響による色の違いもかなりあります。
特に蛍光染料はその影響が大きくて
蛍光灯の下なら同じ色に見えるのに
窓際で見ると全然違うので
色合わせでは苦労するところでしたね。
蛍光染料の注意点
さてここからは余談です。
先程からお話している通り、
色を白くするために蛍光染料を
入れるのですが蛍光染料にも
注意点があります。
管理人が思う注意点は2つ。
ひとつは添加量を増やしすぎると
逆効果になるということ。
もうひとつは耐光性が弱いこと。
それぞれ説明してみます。
まず、添加量を増やしすぎると
逆効果になるというのは
蛍光染料は一定以上入れても
紙が白くならないということです。
蛍光染料を添加して白くなる効果を
蛍光増白効果といいますが、
大量に蛍光染料を入れても
飽和してしまうということですね。
しかも、蛍光染料の原液は黄色いので
入れ過ぎると蛍光染料の色が出る。
実際のマシンでそういうことはないですが
ラボテストでやると変な色になります。
もちろんそれはかなり極端な例ですが。
現実的には蛍光染料は高価な薬品ですから
ギリギリの添加量で効果を出したい。
なんとか白く見せたいからと添加量を
増やしてももったいないということです。
もうひとつの注意点は耐光性が弱いこと。
蛍光染料は紫外線を吸収して
可視光線を出すわけですが
紫外線のエネルギは強いので
蛍光染料の分子が壊れるんですね。
ある程度は蛍光増白効果があっても
いくらかは壊れていくということ。
紫外線で分子が壊れるのは
染料と同じなんですが、
蛍光染料の場合は白く見せるために
入れているのでそれが目立つんです。
製造直後は白くていいなと言っていても
何週間か経過するとダメになるとか。
染料分子が光に弱いのは仕方ないんですが
蛍光染料はそれが目立つということです。
管理人のまとめ
今回は、光る紙についてのお話でした。
光る紙といっても蓄光紙ではなくて
水銀灯の下で青白く光る紙のこと。
結論から言うとコート紙のように
蛍光染料を使用していると光ります。
特に光源が水銀灯のように
紫外線が多ければ強く光る。
日光の下でもひときわ白くなります。
蛍光染料は紙を光らせるのではなく
白く見せるために配合しますが
光源によっては光る紙に
なるということです。
ただし、蛍光染料は添加しすぎると
原液の黄色が目立つ可能性があるのと
耐光性が弱いのであまり光に晒すと色が
落ちてしまう問題があるということでした。
この記事が、光る紙について
考える参考になればと思います。
紙を白くするための工夫も
色々やってることを知って下さいね!
(参考)
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