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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、名塩紙の特徴は?
雁皮に泥土を混入して漉くから耐熱・防虫!
というお話。
名塩紙という和紙があるそうです。
管理人は知らなかったんですが。
wikiによると
==ここから==
名塩雁皮紙(なじおがんぴし)は、兵庫県西宮市の塩瀬町名塩地区で製造される和紙(雁皮紙)である。原料はガンピ(雁皮)で、これに地元で産出する泥土を混ぜて漉くのが特徴。
名塩で生産される和紙は名塩紙(なじおがみ)、名塩和紙とも呼ばれる。「名塩雁皮紙」を「名塩紙」の別名とする説明もあるが、製造者の谷徳製作所では「名塩和紙」を「名塩雁皮紙」以外の和紙の総称(主に和紙故紙を漉き返したもの)と説明している。「名塩雁皮紙」が国の重要無形文化財に、「名塩紙技術」が県の無形文化財に指定されており、「名塩紙」として兵庫県伝統的工芸品に指定されている。
==ここまで==
ということだそうです。
伝統工芸品になるんですね。
こんなの売ってるのか?
と思ったら売ってました。
楽天だとこんな感じ。
|
和紙としてとても特徴的だとか。
ということで。
この記事では名塩紙の特徴は?
雁皮に泥土を混入して漉くから耐熱・防虫!
について
管理人が調べたことを
お伝えしたいと思います。
名塩紙の製造方法。泥を漉き込む
管理人が気になったのは。
この名塩紙、泥を漉き込むんだとか。
ウィキペディアによると
==ここから==
名塩紙は、六甲山に自生する[9]雁皮を原料に、粘料にはノリウツギの皮の抽出液を用い、これに名塩周辺で採取される以下のような泥土(神戸層群第二凝灰岩と呼ばれる地層の岩石微粒子)を加えて溜め漉き法で仕上げる。
東久保(とくぼ)土 – 白
天子(あまご)土(尼子土[10]とも) – 微黄
蛇豆(じゃまめ)土 – 薄褐色
カブタ土 – 青(青の泥を「五寸土」とする説明もある)
これらの泥土は、紙にに特有の色のほか、防虫性、耐熱性を加え、シミができにくく変色しないという。防虫性の点から薬袋紙(やくたいし)や茶室の腰張り紙に用いられ、また耐熱性の点から箔打ち紙として使われる。また、日焼けせずに長期保存に耐えることから、江戸時代中頃から近畿・中国地方では諸藩の藩札に用いられた。
21世紀初頭現在は、箔打ち原紙や、文化財修復に用いる生漉間似合紙が主な製品である。
==ここまで==
ということだそうです。
元製紙会社社員としては。
紙に泥を入れるのは結構難しい。
今の製紙であれば内添填料に
粘土を入れる感じになりますか。
具体的には炭カル、クレー、タルクなど。
紙を製造するというだけなら
本当は内添填料は入れたくない。
粘土はパルプ繊維の絡みを
弱くして紙が弱くなるので。
特に薄い紙の場合は断紙が心配になる。
ただ、印刷品質面からは入れたい。
粘土の微粒子が入っていると
紙表面が滑らかになるので。
しかしですね、高速マシンに内添填料を
入れてもあまり留まってくれない。
高速マシンほど高速で脱水するので
そのときに粘土は抜けるんですよね。
ワイヤーの網目から抜けてしまう。
そうなると歩留まり向上剤のような
薬品を使わないと含有量が得られない。
設定の含有量にするためには歩留まりを考えて
それ以上の填料を予め混ぜておく必要がある。
そして困ったことに。
填料が多くなるほどマシンが汚れる。
下手するとピッチとなってしまう。
マシン洗浄の回数が増えてくる。
しかも断紙も増えてくる。
粘土の多い紙は印刷品質的には
表面性がいいんですが製造は面倒。
現場の創業としてはやりたくないんです。
10%以下ならまあいいでしょうけど
それ以上となるとなかなかに面倒。
20%を超えてくるとかなり嫌がられる。
そんな記憶がありますね~
あと重要なのはコストでしょうか。
実際のところパルプと粘土だと
粘土のほうが易いんですよね。
あくまでも製紙会社の話ですけど。
なので出来れば粘土を入れたい。
紙の強度や現場の操業からすると
粘土はあまり入れたくない。
印刷品質からするとある程度入れたい。
ただし、紙力は落ちるのでバランスが大事。
コストの面からは出来るだけ入れたい。
管理人はそんな事を考えてましたね~
和紙の場合は高速で紙を漉くわけではないので
粘土を入れるのはそう難しくないでしょう。
それでも泥を定着させるための
粘料は重要なんだと思います。
洋紙でいう歩留まり向上剤ですね。
それから紙厚も重要。
薄いと弱くて切れてしまうので。
そうそう。
泥が多い紙は重いんですよね。
粘土って結局、石ですから
パルプより比重が大きい。
だから取り扱いが大変。
そう思うと。
色々と技術が必要な紙だと思いますね~
泥土を混入して漉く紙は耐熱性が高く防虫効果もある
名塩紙の特徴として。
耐熱性や防虫効果もあるそうです。
耐熱性に関しては泥のおかげですね。
粘土は熱に強いですから。
まあそうでなければ焼き物は出来ませんし。
防虫、というのも当然ですね。
パルプは元々木材ですから虫が食べますが
粘土は土ですから虫も食べないでしょう。
それから、経時変化による変色もしにくい。
名塩紙の場合は色が付きますけど
この色はそもそも粘土の色です。
有機物の合成染料なら光で分子が壊れて
退色しますが無機物の粘土の退色は少ない。
これ以外だと、墨ののりや絵具の発色がいい、
紙の質がきめ細かい、反りや変質に強い、
隠蔽性がいい(透けにくい)
と言う特徴があるそうです。
いずれも泥が大量に含まれるから
得られる特徴だと思います。
さすが高級和紙というところですかね~
管理人のまとめ
今回は名塩紙の特徴は?
雁皮に泥土を混入して漉くから耐熱・防虫!
というお話でした。
名塩紙、というのは兵庫県名塩の名産。
地元の泥土を紙に混ぜて漉くそうです。
普通の和紙の技法とは違うので
大量の泥を紙に混ぜることが出来る。
現代の洋紙の技術でもこれは難しい。
職人の手仕事の技なんでしょう。
紙としては様々に良い特徴がある。
耐熱性、防虫、変色、反りに強い。
紙の質が細かく墨や絵の具の発色がいい。
隠蔽性が高い、など。
ただし、粘土が多く含まれるので
紙としては重いのが欠点でしょうか。
そうそう。
今はこういう和紙の製造が減りましたが
昔は泥を入れた紙はもっとあったらしい。
昭和40年くらいまでだそうですが。
刺繍に使われる厚紙として使われていたとか
反故紙を再生するときに泥を増やして
コストダウンというか原料節約をしたのか?
見えないところに使われているなら
安く作る工夫だったのかも知れません。
いずれにしても。
大量の泥を紙に混入するというのは
現在のコート紙に通じるところがある。
昔の技術の凄さを感じますね~
この記事が、名塩紙の
参考になればと思います。
名塩紙、生き残ってほしいですね!
(参考)
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