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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、ダルアート紙の意味はなに、
特徴と使用用途はというお話。
管理人は元製紙会社社員で
コート紙の担当をしたこともあります。
ダルアートというのはその頃に
開発の取り組みをしてましたね。
後発なのでモノマネでしたけど。
管理人はまだ新入社員でしたから
こういう紙もあるのかって感じでした。
それはそうとして。
ダルアート紙とはどんな紙なのか。
特徴や用途はなにか。
ということで。
この記事ではダルアート紙とは
なにかということについて
管理人の調べたことを
お伝えしたいと思います。
ダルアート紙とは印刷が浮き上がる紙
まずはダルアート紙とは。
==ここから==
ダルアート紙とは、上質紙をベースに
マット系の塗料を塗布した用紙のこと。
印刷されていない部分の光沢が
抑えられ、印刷された部分の
光沢が出るように
なっている用紙のこと。
==ここまで==
ということです。
そもそも、「ダル」というのは
英語では「dull」で鈍いとか
和らげるという意味だそうで
ここから来ているんでしょう。
それで。
分類としてはマットコート紙です。
これのなにがすごいのか?
やっぱり光沢なんですよね。
光沢って普通は白紙光沢が
高ければ印刷光沢も高い。
正の相関関係があるんですね。
なので、白紙状態でツヤがあって
印刷したらもっとツヤがある。
これが普通なんです。
ところがダルアート紙は白紙光沢が
低いのに印刷光沢が高い。
白紙部分は目立たないが
印刷部分は浮き立つように見える。
こうなると非常に高級感が出るわけ。
普通のマットコート紙ではそこまで
印刷光沢は上がってきません。
これが技術的にすごいところですね。
ダルアート紙の用途
それでこのダルアート紙の用途なんですが。
高級感が必要な用途ということで
ポスターとか写真集になります。
中でも写真集は良いと思いますね。
管理人的には美術関係の
写真集やカタログですかね。
とても高級感があると思います。
実際、焼き物の写真集だと写真に
写っているものも高級ですよね。
高級なものが高級に見えるので
丁度いい、なんと思います。
こういう茶碗なんか映えるだろうなと。
徳田八十吉みたいに名前のある人の
ものだったらとんでもない値段でしょう。
管理人には買えませんけどね。
あと、車のカタログなんかも
ダルアート紙ありますかね。
高級車の落ち着いた感じが
よく出ていいと思います。
風景のポスターなんかだと
雪景色とかが合いますかね。
夏の日差しは同じ高級でも
普通のアート紙向きでしょう。
内容によってどんな紙を使うかに
よりますがしっとりと落ち着いた
高級感のあるものには
ダルアート紙がいいわけです。
ダルアート紙の品質設計
ここからは専門的なお話。
先程、普通は白紙光沢が
高ければ印刷光沢も高い、
白紙光沢が低ければ印刷
光沢も低いとお話しました。
ではなぜダルアート紙は白紙光沢が
低いのに印刷光沢が高いのか?
やり方は色々あると思いますが
管理人が知っているのはこんな感じ。
まずは白紙光沢が出ないようにする。
ダルアートですからね、白紙光沢が
出てしまってはいけないわけです。
もちろん、何も塗工しなければ
白紙光沢は出ません。
難しいのは塗料を塗工した上で
平滑度も高くしてそれでも
白紙光沢があまり出ない
と言う塗料処方にすること。
これが重要だったと思います。
管理人の知る限りではこのときには
重質炭酸カルシウムという粒子径の
粗い炭酸カルシウムをメインの
顔料にしていたように思います。
この顔料は安くて、形状は岩のようで
いくら平滑度を上げても光沢が出ない。
そういう性質だったかなと。
製造方法も単純で石灰岩を
機械的に砕くだけだったかなと。
こういう粒子径が大きめで平滑にしても
光沢が出ないタイプを使ってましたね。
高級コート紙だから高い薬品かというと
必ずしもそういうわけではない。
薬品の価格と適材適所は
また違うということですね。
こういう感じであとは塗工性とかを
考えてクレーを配合するとかでした。
平板なクレーが印刷光沢向上に
効果があったように思います。
デラミクレーも試していたようですが
結局、安い普通のクレーを使ってました。
今はもっと色々改善されてると思います。
こうやってどんなにスーパーカレンダーで
圧力をかけて潰しても白紙光沢が低い
と言う状態にしておけば紙表面は
相当平滑になっているわけです。
そこにインクが乗ると紙への浸透が
抑えられるので印刷光沢が出る。
そんな感じでしたね。
あとはユーザーの好みになるよう
カレンダー条件を調整するとか
塗料配合とか使用するバインダーの
調整をしていく感じでやってました。
高級品なのに原価が比較的安いので
作る側としてはお得だったと思います。
とはいえ、塗工量が多いので
2度塗りやってましたね。
特にスーパーダルアートと
呼ばれるタイプになりますけど。
今は塗工機もダブル塗工出来るものが
多くなっているので一発で出来ますが
昔はそんなコーターはなかったので
手間かけて製造してました。
塗料がいくら安くても工程が2倍なので
結局高い紙にはなってましたね~
まあ、管理人の在籍している間は
あんまり売れてませんでしたけど。
管理人のまとめ
今回は、ダルアート紙の
意味はなにというお話でした。
もともと「ダル」というのは英語で
「dull」で鈍いとか和らげるだとか。
紙としては白紙光沢は低いが
印刷光沢は高い紙ということです。
用途としてはポスターやカレンダー
写真集やカタログが多いですね。
特に高級品向けになります。
高級紙だから塗料も高いのかと言うと
これはそうでもありませんでした。
紙の塗料って白紙光沢が出るような
粒子径の小さいものを使うと高くて
ダルアートのように白紙光沢が低い
粒子径の大きなものは結構安い。
なので、原料費的には安い紙でした。
ただし、製造工程が2回塗工だったので
結局高い紙ではあったんですけど。
この記事が、ダルアート紙の
参考になればと思います。
ダルアート紙、上手く使って下さいね!
(参考)
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