マットコートの製法。通常の塗工紙との違いはなにか?

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マットコート紙の製法

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回のお話は、
マットコート紙の製法について。

一般的にコート紙といえば
光沢(グロス)のあるものを指します。

しかし厳密に言うと、
紙に塗料を塗ったら塗工紙で、

それを英語で言えば
Coated Paperなのでコート紙。

だから本来は、
マットもグロスもコート紙の一種。

ただその中で光沢の低いものを
マットコート紙と呼んでいるわけです。

なのでここでも
グロスコート紙をコート紙、

マットコート紙はマットコート紙、
と呼ぶことにします。

ところで同じコート紙でも、
なぜこんなに光沢が違うのか?

そこが気になるところです。

なのでこの記事では、
マットコート紙の製法が

コート紙とどう違うのかを
お伝えしたいと思います。

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マットコート紙とコート紙の製法の違いについて

結論から言います。

マットコート紙とコート紙では、
カレンダー条件と塗料が違います。

まずカレンダーについて。

カレンダーというのは、
紙の光沢度と平滑性を上げるため

ロールの間を通すことで
紙の表面に熱と圧力をかける機械。

コート紙の場合、
高い光沢を出すために

スーパーカレンダーという機械を
使うことが多いです。

スーパーカレンダーというのは
カレンダーが何段も積み重なったもの。

段数が増えることで
強く紙に圧力をかけることが出来ます。

そもそもコート紙を製造する時に
塗料を塗っただけでは光沢は出ません。

スーパーカレンダーを通すことで
高い光沢を出すわけです。

だからマットコート紙の場合は、
カレンダーの条件を緩めればいい。

たとえばスーパーカレンダーを通さずに
普通のマシンカレンダーだけにするとか。

スーパーカレンダーに
紙を通す段数を減らすとか。

自分が会社にいたときはこんな感じで
カレンダー条件の変更をしてましたね。

一方の塗料について。

マットコートと言っても
特別な塗料はなかったです。

ただしコストの問題で
塗料を変更するというのはありました。

どういうことかというと、
白紙光沢を高くするためには

粒子の細かい顔料が有利なんですが、
これはコストが高いんです。

しかしマットの場合白紙光沢は要らない。

だから高価な粒子の細かい顔料を
出来るだけ使わない塗料にする。

そういうコストダウンのための
塗料に変更するということです。

当時使われていた顔料は、
クレーと炭酸カルシウムでした。

クレーも炭酸カルシウムも
粒子径が細かいと高価だったので、

マットコート紙にはなるべく
粒子径が粗い顔料を使ってました。

品質とコストのバランスを見ながら
塗料処方を決めていたわけです。

実際のところ当時現は使う塗料は安く、
塗工量も減らして対応していたのですが。

ここまでは通常のマットコート紙の話。

マットコート紙の中には
高級グレードのダル調もあります。

ダル調というのは白紙光沢は低いが
印刷光沢は高いという紙です。

ユーザーに紹介する時には、

白紙光沢が低いので
紙そのものは上品でギラギラしません。

白紙光沢は低いのに印刷光沢は高く、
まるで紙から浮き上がったように見えます。

使用用途は高級カタログや
美術品の写真集に使われます。

白紙がマットなので説明文の文字も
目が疲れずに読みやすいのです。

というような説明をしていました。

ダル調の場合は白紙光沢の出にくい
粒子径の粗い顔料をメインにして、

スーパーカレンダーで平滑度を上げる
ようなことをしていたように思います。

マットコート紙の製法!コインスクラッチ

ここからは元製紙会社社員の本音を
お話させて下さい。

実はマットコート紙の製造自体は
そんなに難しいものではありません。

自分の中でのマットコート紙は、
コート紙の劣化版みたいなイメージです。

しかし製品になった後の取扱には
注意が必要です。

マットコート紙を金属でこすると
黒い筋が発生する場合があるんです。

自分はこの現象を
コインスクラッチと呼んでいました。

光沢が高いコート紙では目立たないのですが、
マットコート紙ではとても目立つんですね。

紙が断裁されるその時に金属とこすれ、
コインスクラッチが発生したり、

印刷されるときにも金属とこすれて
コインスクラッチが発生したりする。

炭酸カルシウムの配合率が多い場合、
発生しやすかったと思います。

マットコート紙の平滑度を上げれば
そこまでひどくはならないんですが、

それをやるとマットで無くなるので、
なかなか対応が厄介でした。

こすれないよう丁寧に扱って下さい、
としか言えなかったですね。

これはちょっとつらい思い出です。

管理人のまとめ

今回お伝えしたのは
マットコート紙の製法についてでした。

管理人の中ではマットコート紙は
コート紙の劣化版のイメージ。

白紙光沢を低く出来るから
カレンダー条件を緩くして

塗料も安くていい、
作りやすい紙という感じです。

ただし白紙はマットでも印刷は光沢、
というダル調は技術レベルが高い。

そして最近は品質要求が厳しくなり、
一般のマットコート紙も印刷光沢が求められ

ダル調に近づけなければいけない、
そんな状況ではないかなと思っています。

マットコート紙は製法的には
コート紙の劣化版と言いましたが、

品質的にはギラギラせず、
しっとり落ち着いた感じのする上品な紙。

特徴を生かしてもっと増えて欲しい、
そんなことを願っています。

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紙の製造
プロフィール
べぎやす

元製紙会社社員。
技術者として入社し16年間勤務する。
開発技術部門、営業管理部門、現場管理部門など様々な部署を転々としたあと独立。
紙に関するコンサルタントとして今に至る。

詳しい運営者情報はこちらからご確認いただけます。
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