チラシの再生について。回収されたらまた新聞紙になるのか?

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チラシ 再生

 

管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。

今回は、チラシの再生についてのお話。

管理人の地区は新聞やチラシ、
雑誌は子供会が回収しています。

回収された紙はどうなるかと言うと
基本的に新聞紙になります。

新聞紙は新聞紙、チラシもおおむね新聞紙。

そういう感じですね。

ただ、雑誌やチラシのコート紙は
分別されてチラシ古紙として

上質系の印刷用紙用に
使われることもあります。

製紙会社としては、チラシ古紙とか
コピー用紙のような上物古紙は

上質系の紙に古紙として配合するとき
漂白が少なくていいのでありがたい。

そういう感じです。

分別回収のやり方は
自治体で色々あるようですけど。

なお、チラシは以前は新聞紙古紙には
使いにくかったのですが今はそうでもない。

その理由はなにか?

ということで。

この記事では、チラシの再生について
管理人なりに調べたことをお伝えします。

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チラシの再生と新聞紙の中性紙化には関係がある

ここからは管理人の推測も一部入ります。

実はチラシの再生と新聞紙の
中性紙化には関係があります。

どういうことか?

かつて新聞紙は酸性紙でした。

そもそも新聞紙は保存とか考えませんから
紙がボロボロになるとか関係ないんです。

それで、酸性紙の場合はボロボロになるし
そもそも新聞紙は古紙配合率が高いし、

機械パルプも入っているので硫酸バンドの
入った酸性紙で問題なかったんですね。

それから、当時使われていたチラシは
コート紙は少なかったんです。

そもそもコート紙がこんなに安くなったのは
30年くらい前からの話ですから。

チラシの主流は上質紙とか、更紙とか
色更紙とかそういう紙でした。

その頃は全部、酸性紙だったんです。

しかし、時代は流れてチラシには
コート紙が使われるようになりました。

今となってはほとんどコート紙です。

ここで問題になるのが
コート紙の塗料と酸性紙の相性。

実はコート紙の塗料には顔料として炭カル、
炭酸カルシウムが使われています。

炭カルは色が白くて安いんですね。

しかも、国内で大量に生産される。

紙のように安い材料に使うには
とても都合がいい顔料なんです。

しかし。

とても大きな問題があります。

それは、炭カルは酸に弱い。

PHが低いと溶けてしまうんですね。

硫酸、H2SO4があると

CaCO3+H2SO4→CaSO4+H2O+CO2

こんな感じで、炭カルがCaSO4、
つまり石膏になります。

酸性紙には硫酸バンド、つまり硫酸アルミ
が使われているんですが

これに含まれている硫酸イオンが
炭カルを溶かしてしまうということになります。

チラシが入っているということはこの
炭カルが大量に含まれるということ。

新聞紙のような酸性紙には
非常に厄介なものになるわけです。

そういう場合どうするか?

それは、古紙を一旦タンクで硫酸と
反応させて石膏を沈降させて分離する。

それからパルプ分を使う
ということをやってたんですね。

これは今でも酸性紙を製造している
ところではやっているかも知れません。

しかしこれも、量が少なければいいですが
増えてくると処理が大変なわけです。

それに、炭カルがもったいない。

チラシ古紙に含まれている炭カルは
そのまま紙の内添填料に使えるのに

それをわざわざ酸で潰してから
紙に配合しているわけですから。

じゃあどうするのか?

ということでやったのが中性紙化。

コート紙、上質紙は早いうちから
中性紙化は進んでいましたが、

新聞紙は機械パルプがネックになって
なかなか中性紙化は進まなかった。

しかし、機械パルプや古紙パルプがあっても
中性紙化できる技術が進んだ。

それで新聞が中性紙になったということです。

チラシの再生。新聞紙はなぜ中性紙化出来たのか?

これの背景には社会的には
リサイクルの推進があります。

管理人が製紙会社にいた頃、
もうすでに新聞紙は55%以上回収して

再生されていたのですが
それをもっと引き上げたんですね。

今では80%程度以上になってるはずです。

まあ限界ですよね。

それで、そのためには新聞古紙だけではなく
チラシ古紙も使わないといけなくなった。

これは社会的な要求としての理由。

しかし、いくらそんな事言われても
技術的に出来ないことは出来ない。

ところが、従来酸性サイズ剤としてしか
使えなかったロジン系サイズ剤が

中性でも使えるようになってきた
という変化が大きかったと思います。

そもそも硫酸バンドは紙に
サイズ効果をもたせるサイズ剤を

パルプ繊維に定着させるために
配合していた薬品なんですね。

そのサイズ剤が硫酸バンド不要で
定着するなら中性でいいわけです。

こうなると、チラシ古紙をそのまま
使っても炭カルは溶けなくて済む。

ということで新聞紙が中性紙化
できたということのようです。

使う側からすると新聞紙が酸性でも
中性でもいいようなものですが

リサイクルを推進すべきという
社会からの要求に応えたのでしょう。

ただし。

実際のところ、新聞紙の中性紙化は
コストダウンにもなるはずなんですね。

つまり、これまでは古紙原料を
一旦酸で処理していたわけですから

そのときにいくらかの割合で
炭カル分をロスしていたわけです。

このロスは結構大きかったはず。

たとえば、米坪64g/㎡の紙の塗工量が
両面トータルで14g/㎡だったとすると。

その比率は

14g/㎡÷64g/㎡=約22%

になります。

この半分が炭カルだったとしても
10%程度がロスになるわけです。

10%という数字がどの程度なのかは
分かりにくいところなんですが、

たとえば古紙100%の新聞紙が
100トンだったらそのうちの10トンが

原料として使われることなく
廃棄されている勘定になります。

日本の新聞は年間278万トンだそうですから
その10%であれば27万8千トンが廃棄される。

こんな感じです。

どの程度になるかと言うと、50mプールが
満水だと1125トンだそうですので、

278000トン÷1125トン=247

炭カルの比重が2.7g/cm3程度なので
247÷2.7=91

いい加減な計算ですが、年間では
この廃棄量は50mプール91個分ですね。

金額で考えると。

もしも炭カルが10円/kgだったら、
1トンあたり1万円。

廃棄した炭カルの重量が27.8万トンなら

278000トンx10000円
=27億8千万円

となります。

新聞紙だけで膨大な原料の
無駄をやっていたわけです。

これはとても大雑把な計算ですが、
古紙に含まれる炭カルを利用するために

中性紙にすることで、酸性紙から
中性紙にするコストアップを吸収できるか

というのが生産する側の
本当の問題だったと思います。

そこで、行けるという目処が立ったので
中性紙化したということなんでしょうね。

管理人のまとめ

今回は、チラシの再生についてのお話でした。

結論から言うと、チラシは再生されて
新聞や雑誌、コピー用紙などになります。

また、新聞紙が中性紙になったのは
チラシを有効利用するためでもありました。

ほとんどのチラシはコート紙ですから
この塗料に含まれる炭カルが使いたい。

リサイクル推進と技術の進展、
コスト削減が一致した結果ですね。

この記事が、チラシの再生について
考える参考になればと思います。

チラシ古紙も紙に再生されていますから
安心してリサイクルして下さいね!

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