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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回のお話は、中質紙を印刷したいが
家にあるコピー機で簡単にできるのか?
管理人も家にコピー機がありますが、
インクジェットタイプの複合機です。
オフィスのコピー機といえばトナー式。
ちょっとイメージが違いますね。
もちろん、自宅にレーザー式の
コピー機やプリンタのある人もいますから
一概には言えませんが、インクジェットの
人が多いかなと思います。
それで、今回の中質紙なんですけど。
学校や塾のプリント用に使いたいのなら
普通の中質紙では難しいんですね。
インクジェットやコピー機には
対応していませんから。
しかし。
中質紙に良く似た紙で低白色再生紙とか
低白色コピー用紙と呼ばれる紙があります。
これはその名の通りコピー用紙ですから
コピー機で使うことが出来ます。
ということで。
この記事では、中質紙を印刷するとき
自宅のコピー機が使えるのかについて
管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。
中質紙の印刷はオフセット印刷。コピー機なら低白色再生紙を使う
結論から言うと、中質紙の印刷は
オフセット印刷で行うもの。
通常のコピー機で印刷することは出来ません。
しかし、中質紙と良く似た紙で
低白色再生紙というのがあります。
古紙入りコピー用紙とか、再生PPC用紙とか
名前は色々ありますが見た目は中質紙。
学校のプリントなんかで中質紙として
使われるのはこれだと思いますね。
低白色再生紙はコピーやインクジェットで
印刷できるように設計されていますから
自宅のコピー機とか、インクジェットで
印刷できるわけです。
インクジェットだったら「普通紙」と
同じ感覚で使えると思います。
インクの吐出量の多いモードで
印刷するとにじむでしょうけど。
カラーレーザープリンタやコピーも
普通紙と同じ扱いで問題ないです。
というか、問題ないように設計しています。
繰り返しますが、中質紙はオフセット用。
ですから、プリンタ用の設計になっていない。
紙に品質設計なんてあるのか?
と思われうかも知れませんが、あります。
管理人は元製紙会社社員で技術開発を
担当したことがありますから断言します。
一般の中質紙と低白色再生紙は
見た目は同じでも内容は違います。
ちょっとその違いを説明させて下さい。
中質紙と低白色再生紙の違い
まず、中質紙と低白色再生紙の類似点から。
これはパルプ配合が類似です。
中質紙の場合は、晒クラフトパルプ、
機械パルプ、古紙パルプの配合。
それぞれのパルプの配合比率は
白色度によって変わってきます。
白色度が低いほど古紙パルプと
機械パルプが増える。
あとは白色度の基準値範囲内で
コストが安くなるようにパルプを選ぶ。
通常、白色度の低い古紙パルプが
安いのでなるべくそれを使います。
機械パルプは嵩(かさ)が出やすいので
厚みが必要なときに配合します。
晒クラフトパルプは白色度が
高いので値段も高い。
これらをブレンドして基準に入るように
配合比率を決めていくわけです。
一方の低白色再生紙はほとんどが古紙。
通常、晒クラフトパルプと
古紙パルプのブレンドです。
古紙100%のものも多いですね。
古紙1005だと、紙の白色度は
古紙パルプの白色度になります。
だから、古紙パルプ自体の白色度を
紙の基準値まで上げる必要がある。
要するに漂白工程で薬品を多く使うし
熟成などの時間もかかるわけです。
これをやると、晒クラフトパルプより
値段が高くなります。
というか、だいたい高くなります。
比較的白色度の高い古紙100%品は
実はかなり無理をして製造しています。
ただし、見た目に関しては中質紙と同じ。
使用しているパルプが古紙パルプと
晒クラフトパルプとがメインだし、
そういう色調になるように
調整しているからです。
低白色再生紙を見て中質紙だと
思うのは当然なんですね。
次に違うところ。
低白色再生紙はプリンタ用紙なので
プリンタで印刷できるようになっています。
たとえば搬送性。
プリンタで紙詰まりを起こさないように
紙の厚さ、剛度などに基準があります。
もちろんカールしてもいけませんから
紙の水分率管理も厳しいです。
それからインクジェットの場合は
インクがにじまないように薬品を入れます。
サイズ度やインクの定着性
などを管理してましたね。
レーザープリンタの場合はトナーが
キチンと紙に乗るように
紙表面の電気抵抗である表面抵抗を
コントロールしていました。
基本的に紙は絶縁体ですから、
少しだけ電気抵抗が低くなるように
薬品といっても工業用食塩ですが
これを入れたりしてましたね。
こういうのは今でも似たようなことを
やっていると思います。
なお、インクジェットとコピー用紙の兼用紙は
コピー適性だけ持たせることが多いです。
これはインクジェットプリンタが良くなって
普通紙モードがにじみにくくなっているから。
だからといって、一般の中質紙が
印刷出来る保証はないですが。
紙としては、印刷用紙よりプリンタ用紙の
ほうが管理が厳しく特殊になりますね。
製造自体はどちらも同じようなものですが。
管理人の体験からすると低白色再生紙は
製造方法が決まると条件を変更しませんから
最初は大変でも安定すればラク
というイメージがあります。
一方、一般の中質紙は特抄品が多く、
その対応が面倒でしたね。
その分、配合などは結構自由でしたが。
管理人のまとめ
今回のお話は、、中質紙を印刷したいが
家にあるコピー機で印刷できるのか?でした。
結論は中質紙をプリンタやコピーでは
印刷出来ないが低白色再生紙のような
プリンタ用紙ならやプリンタやコピー機で
印刷できるということでした。
なお、一般の中質紙と低白色再生紙は
見た目はよく似ていつということです。
学校のテストやプリントを印刷するなら
低白色再生紙を使えばいい。
実際のところ、普通の中質紙を
使っている学校や塾はないと思います。
それから、中質紙と低白色再生紙は
見た目は似ていても品質設計が違う。
中質紙は商業印刷用
低白色再生紙はプリンタ用紙用。
それぞれ使用する薬品や
抄造条件は違うということです。
この記事が中質紙の印刷の
参考になればと思います。
プリンタやコピーには低白色再生紙のような
コピー用紙を使って下さいね!
(参考)
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