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管理人の紙コンサルこと、べぎやすです。
今回は、紙の水分率の測定方法。
実験室では重量だが現場では赤外線?
というお話。
管理人は元製紙会社社員。
紙の試験もやりました。
簡単なやつだけですけど。
それで。
測定は簡単ですけど品質的に
重要なのが紙の水分率。
これもやりましたね。
ただですね。
紙の水分率って正式には紙を切り取って
乾燥させて重量を比較するんですが
現在抄紙機で製造している
紙にフィードバックできない。
乾燥に時間がかかりますから。
なので抄紙機やコーターには
オンライン水分率計があります。
米坪と水分を測定するのでBM計。
同時に紙厚、色調や灰分率も測定する。
品質管理に必要な項目はほとんど
測定できていたと思います。
米坪や灰分率は放射線、水分は赤外線、
色調は可視光線と言う感じですね。
今となってはBM計なしには
紙の製造は出来ないでしょう。
それはそれとして。
紙の水分率の測定方法はどうなっているのか?
実験室とオンライン測定はどう違うのか?
ちょっと確認してみようかなと。
ということで。
この記事では、紙の水分率の測定方法。
実験室では重量だが現場では赤外線?
について
管理人なりに調べたことを
お伝えしたいと思います。
紙の水分率の測定方法。正式な方法は簡単だが時間がかかる
まずは紙の水分率の測定方法。
実験室ならどうやるか。
計算式はこんな感じ。
水分率(%)=(m0-m1)/m0 X 100
m0: 試料採取時の試験片質量(g)
m1: 恒量まで乾燥した試験片質量(g)
m0はサンプリングしたときの重量。
m1は105℃で乾燥させたときの重量。
乾燥は米坪が225g/㎡未満なら30分以上、
225g/㎡以上なら1時間以上になります。
計算式はこんな感じなのでやることは単純。
紙をサンプリングして重さを測定し、
それを乾燥機で乾燥させてまた測る。
もちろん精度の問題はあるので
恒量になるまで乾燥するとか
デシケータ内で常温になるまで待ってから
測定するとか細かいことはありますが。
いずれにしてもやることは単純です。
しかし乾燥に30分とか時間がかかる。
実験結果を出すのにそんなに時間が
かかったら操業には使えない。
出荷前の品質チェックにはなりますが
それがアウトだったら大損害です。
なので現場ではオンライン測定。
先程もお話したBM計を使います。
実際には抄紙機と一体になってます。
だいたいはサイズプレス前と
リールの前だったかな?
サイズプレス前にあるのはここで
でんぷんを塗工することが多いから。
つまり、米坪や水分の変動が起こる
場所なのでBM計で測定するんですね。
リールの前は最終製品のチェック。
最重要ポイントです。
で、このBM計なんですが。
Bは米坪(Basis Weight)
Mは水分(Moisture)
になります。
米坪・水分測定器ということですね。
先ほどお話したように今では
BM計なしに紙の製造は出来ません。
管理人が勤務していた頃だと、
米坪、紙厚、水分、灰分、色調。
プラス欠陥検出と言う感じでしょうか。
それで。
米坪はベータ線で測定する。
原理的には米坪はベータ線がどれくらい
吸収されたら何g/㎡かということで分かる。
水分は赤外線を当てて水が吸収する波長と
そうでない波長の差で測定する感じ。
米坪は原理上そのまま重量が分かりますが
水分率は原料で微妙に数値が変化する。
なので水分率は銘柄ごとにラボと
すり合わせを行う必要があります。
とはいえ、米坪や水分率は毎ロット
サンプリングして測定してました。
その数値がズレてなければ問題ない。
管理自体はそんな感じでしたね~
いずれにしても、このBM計で米坪や
水分を測定してフィードバックする。
特にプロファイルの微調整には
無くてはならないデータです。
後日、巻取の幅方向のばらつきが
どうだったかの検証にも使う。
シワやダブりが発生したときの
クレーム対応でも使いました。
いずれにしても。
幅広の高速マシンが安定生産できるのは
BM計があるからだと思いますね~
紙の水分率の測定方法。昔は職人技だった?
ここからは余談です。
実験室での紙の水分率の測定方法は
単純ですが時間がかかるので
今はオンラインで測定できるBM計が
使われているとお話しました。
では。
BM計がなかった頃はどうしていたのか?
センサーがなかった時代はどうしていたか?
気になったんですよね~
そもそもBM計自体は1970年代に
開発されたものだそうです。
コンピュータが普及し始めた頃でしょうか。
1976年、ブロック崩し発売だそうですから
ちょうどそんな感じなんでしょう。
そうなると管理人が子供の頃はまだ
BM計なんて使われてなかったわけで。
それで、以前古い人に聞いたんですよ。
昔はどうしてたんですかって。
その答えは。
「人間が見ていた」らしいです。
リールで巻き取った紙を叩択棒という
木の棒で叩いて巻取具合をチェックする。
それで米坪が均一かどうかが分かる。
リールで巻き取った紙を手で触わる。
その感じで水分率が高いか低いか分かる。
リールの下に寝転んで流れる紙を見る。
それで欠陥の有無を判定していたと。
これ以外にもパルプを握ったら
フリーネスが分かるとか
ビーカーの中の液を指で
混ぜれば粘度が分かるとか。
これぞ職人技。
そんなことができるようになるんですね~
ただ紙をなでたり見たりしている
だけの人が一番仕事をしている人。
そういうものだったそうです。
今はそれがセンサーに置き換わり
人間がやることはなくなりました。
だれでも精度のいい紙を製造できますが
人間の勘は失ったように思います。
これも仕方ないことなんでしょうけど。
管理人のまとめ
今回は紙の水分率の測定方法。
実験室では重量だが現場では赤外線?
というお話でした。
管理人も紙の水分率は測定しました。
やることは単純でも時間がかかる。
サンプルを取って重さを測って
乾燥させてまた重さを測る。
今考えれば水分率計を使えば瞬時に
測定できるのにと思いますね。
今ならこんなハンディなものもあるのに。
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精度はなんとも言えませんが
サンプルを瞬時に測定出来る。
傾向をチェックするだけなら便利ですよね~
でも当時はそんな機械はなかったし
そういう考えもありませんでした。
あと、実際の抄紙機やコーターで
使われるのはBM計と呼ばれるもの。
オンラインで米坪や水分を測定する機械。
抄紙機やコーターに組み込まれてます。
今はこういうセンサーなしに
紙の製造はできません。
昔は五感で紙の品質がわかる
操業員が居たそうですが
今はそんな職人技は持ってないし
必要とされなくなってしまいました。
これも時代の流れなのでしょう。
この記事が、紙の水分率の
参考になればと思います。
紙の水分率、重要な品質項目なんですね!
(参考)
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